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第16回 系。。。って何?(2)


(前回から続く)
  ところが、「草食系」の場合はあきらかに違った使い方である。この言葉はフリー編集者であり、コラムニストの深澤真紀が日経ビジネスオンライン「U35男子マーケティング図鑑」で、上の世代が若者を理解できるように「草食男子」と命名したことに由来する。
  それがいつの間にか草食「系」という言葉で世の中に広まった。「系」がついてからはどちらかと言うとネガティヴなイメージの語として定着してしまい、深澤氏はとまどっている。
  いつの世も「今の若者は。。。」という若者叩きがあるのだ。

誰が「系」を付け始めたかは不明だが、21世紀に入った頃から、人の(いわゆる)キャラクターを示す新語を作るときに「系」を使い始めたことからの影響が大きいだろう。例えば「おネエ系」、「おやじ系ギャル」などである。つまり、(主に上の世代から見て)標準ではないと決めつけられた人たちのことである。
  この場合の「系」は「〜みたいな」とか、「〜的な」くらいの意味で使われている。
  近年、断定を避ける表現がどんどん増えており、その類(たぐい)であろう。

若者をひとつの属性に押しこめたいのなら、「草食形」、あるいは「草食型」とした方がよかったのであるが、どちらも音読みが「ケイ」なので、意味の混濁が起こり、「系」の意味が拡張されたと思われる。

元々、「系」はグループ分けや階層化で学術っぽく言い表す時に使われた言葉だ。世の中の高学歴化に伴い、日常的に人々が使いやすくなったのだろうとも推測する。

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[参考文献]
1974「新和英辞典」研究社、1986「漢字の語源」角川書店、1993「角川大字源」角川書店

2012.2.15 掲載



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