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イーストウィックの魔女たち

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ロメオもいなければ、ジュリエットもでない。主演は30代後半の田舎町の不平不満をかこつバツイチ三女性となにやら胡散臭いセクシーでリッチな男に姿を変えた悪魔。従来のミュージカルの常識から外れた設定の舞台だが観客席は湧きに湧いている。客席へ身を乗りだして合図する指揮者の棒にあわせて応援の大拍手を送るなどNHK歌謡番組のノリだ。

「イーストウイックの魔女たち」(原作ジョン・アップダイク 脚本・作詞 ジョン・デンプセイ 演出 山田和也)はその昔「魔女狩り」で歴史に悪名を残したアメリカ東海岸地方の名残をとどめるイーストウイックに住むバツイチ中年三女性の日常を描く。悪魔との奔放なセックスで心身ともに解放され女として自信を取り戻した彼女たちは、改めて女性の友情に目覚め、若い女性を守って「恩人」の悪魔をやっつけてしまう。


悪魔との不倫は女性を育てる?

別居中の音楽教師ジェーン(涼風真世)、上司と不倫中の新聞記者スーキー(森 公美子) 、バツイチで子持ちの彫刻家アレクサンドラ(マルシア)、10代の夢もなく20代の若さを消えた30代後半の女性トリオだ。同じ町に住む冴えない男と不倫を重ね、仲間内で集まっては「マーティニ」のグラスに愚痴を重ね退屈を紛らわせている。そんな彼女たちにリッチでセクシーな男に姿を変えた悪魔ダリル・ヴァン・ホーン(陣内孝則)が現れ三人に同時に不倫を仕掛ける。

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地元新聞社の社主で風紀と環境の保全に熱中するフェリシア(大浦みずき)は四人の情事を目の敵とするが、自分の連れ合いはスーキーと不倫中でひとり娘はアレクサンドラの息子と恋愛中。おまけにダリルのマジックで七転八倒のひどい目に合わされる。

  清く正しいイーストウイック・タウン
  西にスキャンダルがあれば暴こう容赦なく
  東の不倫裁こうこの手で・・・・

  見てよ 女盛り なのに枯れてく
  このまま 老けてゆくどうしよう たまらない
  本音は 本音は そうよ 本音を言えば
    (訳詩 竜 真知子)

冒頭の町の人たちが歌と踊りで上品ぶった町の実態が分かってくる。


魔女たちの空中遊泳

魔女になった3人のフライングはこのミュージカルの圧巻。場内から「キャー!」「ヒャー」と悲鳴が上がる。森公美子の巨大な胸が筆者の頭上に迫り、落ちてこないかとヒヤリとしたら一瞬彼女と目があってニタリとされた。(フライング専門スタッフジェリー・ドナルドソン以下7名)

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劇場に入ると舞台にデンと座った二つの巨大な乳房!乳房がパックリ二つに割れるとジェーンやフェリシアたち町の住民の室内となる。観客にこれでもかと迫ってくる女性のシンボル(装置 松井るみ)の中でストーリーが展開されるように、これは女性の「女性自身」に喝采をおくる痛快なコメディーだ。(帝国劇場にて公演中11月12日まで)

2007.10.29 掲載

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