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「劇団四季」55周年

劇団四季は7月14日、四季芸術センター(横浜市・あざみ野)で創立55周年記念記者発表会と懇親パーティーを行った。

行事に先立って劇団員自身がガイドとなって案内する四季芸術センター館内では、それぞれの稽古場での劇団員、研修生のバレエ、ジャズ・ダンス、美しい日本語教室のレッスンも披露され、ちょうど2年前、創立53年記念に完成した芸術センターが今、若い才能を育てている真最中であることが示された。

1200人の大劇団に成長

記者会見では劇団四季代表、浅利慶太さんは、恩師加藤道夫氏に導かれて「演劇界に革命をおこす」との意欲で学生10名が創立した劇団四季が、今や俳優700人とスタッフ500人の1200名を擁する劇団に成長したことを全国の支持者に感謝し、「こころの劇場」プロジェクトと新作ラインアップを紹介した。因みに俳優の100人は中国、韓国ほかの外国人である。

「こころの劇場」というのは劇団四季と企業・行政による日本全国の子どもたちに演劇の感動を届ける招待プロジェクトで、北は北海道利尻島から南は沖縄・石垣島・宮古島まで252都市40万3千人の児童を「人間になりたかった猫」「むかしむかしゾウがきた」などのミュージカルに無料招待するもの。経費については企業、行政の丸抱えではなく、劇団四季自身もこの企画に「Cats」と「ライオンキング」で挙げた収益を寄付する。

「こころの劇場」企画の動機の一つは浅利さんが文部科学省の委員会に加わったことにある。そこでイジメている子どもには相手をイジメているという意識がないことに改めて注目。子どもには個別にビデオゲームなど機材とばかり遊ばせるのではなく、友達同士で遊び感情を共有する人間関係をつくらせたいという。

新作ラインアップとしてミュージカル「春のめざめ」と「劇団四季ソング&ダンス〜55ステップス〜」を発表。
  「春のめざめ」は10代の子どもたちのセックスを大胆に描いた異色のロック・ミュージカル。昨年トニー賞8部門を受賞、現在ブロードウエイで上演中である。また「ステップス」は劇団四季の俳優・振付師、加藤礼二さんを中心に今までの歌と踊りの集大成を越える作品を目指す。

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李香蘭 異国の丘 南十字星
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劇団四季代表、浅利慶太さんは55周年にあたり「演劇は文学の立体化。一音一音台本の感動を観客に届ける。文化の東京一極化を排除し、演劇に対する祈りを忘れず、今後とも邁進してゆきたい」と述べた。

海外公演

記者会見での筆者の海外公演に対する質問には「南十字星」は駐日インドネシア大使が7月13日に観劇、元日本兵の(旧宗主国オランダからの独立戦争)義勇兵たちが国立墓地で眠っている歴史もあり、是非とも招待したいとの話があったと答え、更に「異国の丘」はプーチン首相(前大統領)の故郷サンクトペテルブルクで上演したいという願いもあり、昭和史ミュージカル三部作(「李香蘭」「異国の丘」「南十字星」)はブロードウエイで上演したいと強調された。

55周年記念パーティー会場ではこの日のために日本全国の四季劇場から駆けつけた俳優たちによるメドレー9曲が披露された。

フィナーレに歌われたのは「コーラスライン」よりの「愛した日々に悔いはない」。野村玲子、荒川務ほか劇団四季を支える14名のメインキャストの覚悟が感じられた。

「たましいの劇場」

55周年の節目を迎えた劇団四季は「こころの劇場」、新作ラインアップで今は手一杯であろうが、筆者としては近い将来に海外だけではなく「たましいの劇場」として「こころの劇場」を卒業した日本全国の中学生、高校生にこの昭和ミュージカル三部作を見せてほしいと願っている。マスメディアや政治が避けて通った日本国の責任に、一人の大人として語り部となって対応した浅利氏の意思を劇団として是非とも次の世代に伝えてほしい。

2008.9.10 掲載

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