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Club Seven 7th Stage

爆発する音響と共に照明の光の柱の中に現れた男性7人と女性2人の激しいダンスで、Club Seven 7th Stageの幕が開く。プロデュース、演出、振付、主演などトータル・クリエーターは異色のタップダンサーで演出家の玉野和紀。マリアート製作のホテルでのショウを皮切りに回を重ねるにつれて人気が盛り上がり、7回目の本作品は東宝ミュージカル・スター遠野あすか、涼風真世を迎えてのシアタークリエでのデビュー公演となった。

7th Stageの第一部は超過激な玉野振付のタップ・ダンスを中心に、歌にコント、五十音順のヒット・パレードと盛り沢山。マイケル・ジャクソンのパロディー、元タカラジェンヌの涼風、遠野による「ベルサイユのバラ」のシーンあり、オリジナル・ギャグありで観客を厭きさせない。

Club 7の旗揚げが品川プリンスホテルのクラブeXでの玉野が仲間を招いての実験的なショウということもあり、クラブ活動よろしく以前からの参加者、吉野圭吾、東山義久、西村直人、原知宏、今回からの相庭裕樹、佐々木喜英等に公平に見せ場が振られている。

イケメンのアーティストたちが膝丈に身を屈め保育園児に扮してのコントは満場爆笑に継ぐ爆笑。「教授と助手の研究」では惚れ薬を発明したゲイの教授と惚れ込まれた助手の当惑、そのガールフレンドは教授が好き。この三角関係に掃除婦が絡むので、話が落ち着くところに落ち着くまで走り回る姿がこれまた笑える。

老映画監督が昔のガールフレンドである大衆劇スターとのシガラミで現代劇を股旅ものに改作されるエピソードは、近未来的衣装に身を包んで登場したClub 7のダンサーたちも義理人情の世界には勝てないことを示しているようで、その落差が愉快だ。

「50音のヒット・パレード」では、テレビ・コマーシャルの再利用とコメンテイターのそっくりさんが「これでもか」と続く。「ウイスキーがお好きでしょう」「マツケンサンバ」「猫とアヒルが力をあわせて」がClub 7バージョンで登場。極端にスローな話しぶりが特徴の戦場カメラマンは、スティックの先に銃弾をつけて敵方を追いかける。

「もう一度見たい作品」に観客から希望があったという第二部のミュージカル「妖怪」は第一部で陽気に笑い転げた観客にはちょっと暗い内容だ。8th Stageでは演目を一工夫して欲しい。

東北地震、津波、原発事故に負けず、堂々と公演してそれを義捐金募集につなげるClub 7の出演者、スタッフとクリエの心意気へ拍手。(シアタークリエ 4月17日まで、その後大阪梅田劇場 シアター・ドラマシティ4月19日、愛知県芸術劇場 大ホール4月22日)


2011.4.9 掲載

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