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SMAP、嵐を始めとする多くの若手アイドルを育て、格式ある帝国劇場を若い観客でチケット即日完売とする伝説の興行師、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長は今秋英国2012年版「ギネスブック」で最も多くの第一位獲得シングル曲(232曲)、最も多くのコンサート(エンターテイメントショー/8419本)のプロデューサーとして、二つの世界記録に認定され、世界で最も成功した音楽プロデューサーとしての地位を揺るぎないものとした。

その喜多川氏の「ギネス・レコード」を記念して帝国劇場で上演中の「ジャニーズ・ワールド」は2000年から始まった当時21歳の堂本光一主演の「SHOCK」、以来続いた滝沢秀明の「滝沢革命」、亀梨和也の「DREAM BOYS」などの集大成とでもいうべきもので、座長はHey ! Say ! JUMPの山田涼介と若返っている。

堂本光一が始めたジャニーズの恒例のフライングは今回は開幕前から始まり、迷子になった子どもと案内係の女性が客席頭上をぐるぐる回るという趣向で観客の度肝を抜く。


月ごとに移り変わる舞台

“Show must go on !”のスピリットで狂気から(!?)生まれだされたフライングに観客が呆気にとられているうちに「人生は季節の中にあり、一年は十二か月、アットいう間に過ぎてゆく…13月目は?」、と登場した黒服のプロデューサーは観衆に語りかけ、舞台は月毎に移り変わってゆく。

一月は歌舞伎調のダンス、ジャポネスクの津軽三味線と八個のドラムの演奏では撥に合わせて水しぶきが舞い上がる。壁面で踊るジャニーズJr.たちを含め総勢180人の迫力だ。

二月の雅楽、五月の飛行船、七月、八月の子どもたちのダンスが可愛い。
  九月ではA.B.C-Zのコント、十月は壇ノ浦の戦い、12月は赤穂浪士の吉良屋敷討ち入り。
  舞台では庭の滝と天井から7トンの水が降り注ぎ、立ち回りする山田涼介座長を襲う。


宇宙映像と舞台のコラボ

二部ではシェークスピアから「真夏の世の夢」、「ハムレット」のジャニーズ版、滝沢革命のパロディーに常連の若い観客が歓声を上げる。

宇宙に出た映像とジャニーズたちの実際の舞台とのコラボレーションは見事に決まっている。

ブラックホールに飲み込まれる永遠の命、世界の紛争地で裸の肩に銃を下げた少年兵への思い、プロデューサーが言った13か月目のユートピアはそれぞれの心の中にあると悟ったジャニーズたちは「宇宙で一番美しい星、ガガーリンは地球は青かったという言葉を残したが、その中で一番素晴らしい、争いのない国は日本だ。あの星に帰ろう。今があって未来がある。あの飛行船に乗って地球に帰ろう!」

通路から次々と風船を掲げたちびっ子ジャニーズたちが青い地球を目指す。バックに流れる曲は「故郷」。飛行船に大きく書かれた文字はTAKIZAWA号!客席全体が大笑いで盛り上げる。

一時は日本の劇場界の名門帝国劇場にアイドル・グループを登場させることに懸念があったが、チケットは常に発売と同時に完売状態、若い観客のマナーもよい。東日本大震災鎮魂への思いを込めて演じるジャニーズのアイドル・グループHey ! Say ! JUMP、A.B.C-Z、Sexy Zone、ジャニーズJr.の少年たちの真摯な姿が気持ち良い。

可愛くて凛々しい少年たちを“Cool Japan”の特産品としてKittyちゃんのように世界中に輸出できないものかと思うが、これはジャニー喜多川氏に心酔しているタレントとスタッフがいる日本だからできること。実際にはこれだけのショーは職能組合の力の強い欧米では上演出来ないだろう。やはり訪日して帝国劇場の公演を観劇し、出来れば東北まで足を延ばして頑張る日本人の姿を見てほしいものだ。(帝国劇場2013年1月27日まで)


2012.12.3 掲載

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