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ハリウッド版「GODZILLA」

日本のゴジラが初めて映画に登場してから60年。国内で28本、米国で1本製作されて以降音沙汰なかったが今回ハリウッド版で怪獣ヒーロー「GODZILLA」として華々しく蘇った。


放射能で羽化した怪獣ムートー

1999年、フィリッピン炭鉱跡に日本人科学者の芹沢猪四朗博士は巨大な繭の生物化石を発見。一方、日本の雀路羅(ジャンジラ)原発勤務のジョー・ブロディ—は大震災の最中に防護壁が下りたため、妻のサンドラの懇願を受けてやむなく彼女を原子炉内に残したまま息子のフォードを連れて逃れる。その後原発は廃墟となる。

15年後、サンフランシスコで消防士となっていたフォードは、父親が立ち入り禁止の廃墟に侵入したため逮捕されたことを知って日本に向かい、原発跡地に父親と共に潜入するが、そこは廃墟ではなく秘密研究機関が建設されている。連行されて見たのは放射能をエネルギーとして育つ巨大な繭だった。繭は巨大な昆虫怪獣ムートーに羽化し、日本の施設を破壊しながらハワイに飛び立つ。

さらに米国で保管されていたフィリピンで発掘された繭からはメスのムートーが誕生。雌雄のムートーはお互いを求めあってサンフランシスコに向かう。

さてそこで突如サンフランシスコ湾に波立てて登場するのがお馴染みのGODZILLA!(試写会では拍手喝采が興った。)
  ゴールデン・ゲート・ブリッジを破壊し、2頭のムートーになぶられ痛めつけられながらも宿敵を倒し、再びサンフランシスコ湾の彼方に背びれを光らせながら消えてゆく(まさにカッコいい英雄の退場ぶりだ)。

ハリウッド版「GODZILLA」

和製ゴジラへのオマージュ

今回のハリウッド製GODZILLAはゴジラ・ファンであるギャレス・エドワーズ監督の60年前の和製ゴジラへのオマージュであり、芹沢博士の名前は第一回作品に登場した芹沢博士とゴジラを生み出した本多猪四朗監督に因んだものという。

GODZILLAの破壊力は放射能で生きるムートーから人類を守るための武力として扱われ、ブロディ—父子の絆、息子であるフォード家族の愛情、またフォードが避難中の男の子に対する思いやりなど気配りが利いている。英雄怪獣GODZILLAを夏休みの家族映画として推薦したい。

2014.7.25 掲載

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