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シアタークリエ「おかしな二人」

ジャック・レモンとウォルター・マッソーが映画界を沸かせたニール・サイモンの喜劇「おかしな二人」の女性版を、宝塚歌劇団の原田諒が潤色・演出。主演は宝塚のドリーム・カップル大地真央と花總まり。助演はシルビア・グラブ、宮地雅子、平田敦子、山崎静代、渡辺大輔、芋洗坂係長のいずれも一癖ある役者たち。

シアタークリエ「おかしな二人」
傷心のフローレンス(花總まり・手前)を慰めるオリーブ(大地真央)

1970年代のマンハッタンにあるオリーブ・マディスン(大地真央)のアパートは脱ぎ捨てたドレスや古新聞、雑誌が散らかり、夏というのに冷蔵庫は2週間以上も壊れたまま。離婚後、部屋は無精な性格を示すように荒れ放題だが、女友達が集まってゲームやおしゃべりで盛り上がっている。話題は最近夫から離婚話を突き付けられたフローレンス・アンガー(花總まり)のこと。傷心の彼女が自殺でもしかねないと心配しているところに、フローレンスが入ってくる。思い当たることはないと未練たらたらのフローレンスに、オリーブは新しい生活を送るべきだと同居を提案する。

シアタークリエ「おかしな二人」
荒れ放題のオリーブのアパートに集まる友人たち

ところが、フローレンスは病的なほど潔癖症で部屋をピカピカに磨き上げ、壁には絵画まで美しく飾る始末。食事のコースまでキッチリ計画する彼女に、最初は慰めていたオリーブも爆発する。ここに絡んでくるのは渡辺大輔と芋洗坂係長のスペイン人兄弟。言葉が通じないデートに二人は更に衝突する。

シアタークリエ「おかしな二人」
左より、マノロ・コスタスエラ(渡辺大輔)、ヘスース・コスタスエラ(芋洗坂係長)とフローレンス(花總まり)

客席で抱腹絶倒しながら、疫病コロナの縛りのなかで「不要不急」の存在とされた劇場の人生における重要さが今更のように確認された。(東京:10月8日~25日 シアタークリエ/大阪:11月5日~8日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)


2020.10.20 掲載

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