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舞台「キングダム」

2006年から現在まで「週刊ヤングジャンプ」で連載され、2023年1月で67巻、累計9500万部を突破した原泰久原作の漫画「キングダム」は、TVアニメ、映画となっていたが、ついに本年2月、舞台化された。(脚本:藤沢文翁、演出:山田和也)今回は67巻中、1巻から5巻までの「王都奪還編」に8巻の一部を添えたもの。

紀元前4世紀、古代中国の春秋時代、中国史上初めて全国統一を果たした秦の始皇帝が青年王・嬴政<エイセイ>時代に、下僕であった信<シン>の助けを得て、王座を奪う義弟・成蟜<セイキョウ>から王都咸陽を取り戻すまでのストーリーに、8巻の女闇商人・紫夏<シカ>が隣国趙の人質だった9歳の嬴政を命がけで救ったエピソードが挿入されている。


ストーリー

村で下僕として働く孤児の信<シン>(Wキャスト:三浦宏規/高野洸)と漂 <ヒョウ>(Wキャスト:小関優太/牧島輝)は、大将軍になることを夢見て剣術の鍛錬に励んでいる。

偶然、秦国の大臣に注目された漂は王宮に仕官することになり二人は分かれるが、やがて大王の弟が反乱を起こしたという噂が聞こえてくる。ある夜、血みどろになって帰ってきた漂は、信に地図と自分の夢を託し息絶える。信は漂の太刀を背負い地図の場所・黒卑村に向かうが、そこにいたのは王都を追われた漂と瓜二つの人物、嬴政 <エイセイ>。信は漂が嬴政の身代わりとして命を落としたことを知り、下僕の身でありながら嬴政に怒るが、嬴政の国境をなくし争いをなくしたいという信念に圧倒され、ついには漂の遺志を継いで行動を共にする決意を固める。

舞台「キングダム」
嬴政<エイセイ>(小関裕太)

この作品の見どころは、舞台上の生アクション。(殺陣師:渥美博)
子供時代の信と漂の本気の打ち合い、嬴政が協力を求めて向かった「山の民」の躍動する武術。なかでも弟、王・成蟜の用心棒、左慈<サジ>(早乙女友貴)の太刀捌きは芸術的。特徴的なのは女性陣の殺陣の見事さ。通常アクション場面で女性が出てくるとその未熟さに白けるのだが、山の民の首領(実は女性)、楊端和<ヨウタンワ> (Wキャスト:梅澤美波/美弥るりか)の立ち回りも見事だし、紫夏<シカ>(Wキャスト:朴璐美/石川由依)の半弓の扱いも堂に入っている。もっともこれはひとえに絡み役のアンサンブル男性たちの受け手の見事さでもあろう。河了貂<カリョウテン>(Wキャスト:川島海荷/華優希)の愛嬌ある吹き矢も面白い。

舞台「キングダム」
河了貂<カリョウテン>(華優希)

20代の若者中心の配役とユニークな女子陣に貫録を示すのは王騎<オウキ>(山口祐一郎)。
ミュージカルでもないのに生のオーケストラが付くのは贅沢だ。

舞台「キングダム」
王騎<オウキ>(山口祐一郎)
    [公演スケジュール]
  • 2月5日-27日:帝国劇場
  • 3月12日-19日:梅田芸術劇場メインホール
  • 4月2日-27日:博多座
  • 5月6日-11日:札幌文化芸術劇場hitaru)

2023.3.6 掲載

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