ホラホラ、これが僕の骨 中原中也ベスト詩集

酒場にて

今晩ああして元気に語り合っている人々も、
実は、元気ではないのです。

近代いまという今はすくなくも、
あんな具合な元気さで
いられる時代ときではないのです。

諸君は僕を、「ほがらか」でないという。
しかし、そんな定規じょうぎみたいな「ほがらか」なんぞはおやめなさい。

ほがらかとは、恐らくは、
悲しい時には悲しいだけ
悲しんでられることでしょう?

されば今晩かなしげに、こうして沈んでいる僕が、
輝き出でる時もある。

さて、輝き出でるや、諸君は云います、
「あれでああなのかねえ、
不思議みたいなもんだねえ」。

が、冗談じゃない、
僕は僕が輝けるように生きていた。

(一九三六・一〇・一)
未発表詩篇より

朗読

ご感想

misaさん 2017/10/22 5:14:45

今回、この本で初めて知りました。これは、いい詩ですね。そして、これまでの選集ではあまり見かけなかった詩でした。

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