ホラホラ、これが僕の骨 中原中也ベスト詩集

夕照せきしょう

丘々は、胸に手を当て
退しりぞけり。
落陽らくようは、慈愛じあいの色の
金のいろ。

原に草、
鄙唄ひなうたうたい
山に樹々、
老いてつましき心ばせ。

かかる折しも我ありぬ
小児しょうにに踏まれし
貝の肉。

かかるおりしも剛直ごうちょくの、
さあれゆかしきあきらめよ
みながら歩み去る。

『山羊の歌』より

朗 読

解 説

夕照

「夕照」は初出が1929年『白痴群』第2号7月である。4行4行3行3行の14行詩である。

「丘々は、胸に手を當て
  退けり。
  落陽は、慈愛の色の
  金のいろ。」
 
と始まるこの詩は自分のことを「少児(小児)に踏まれし/貝の肉。」と歌っている。つまり、繊細で柔らかい物として設定されている。
 
この詩の最後で

「さあれゆかしきあきらめよ
 腕拱みながら歩み去る。」

と歌っている。「あきらめ」を剛直でゆかしい物としてたたえているのである。

※解説中の詩の引用の表記は、書籍『ホラホラ、これが僕の骨』の表記に沿って、旧漢字、歴史的仮名遣いを用いています。読みやすさを重視して新漢字、現代仮名遣いに変えているこのサイトの詩の表記とは異なります。ただし、WEBで表記できない書体もあるので、原文に忠実に表記した書籍と完全には一致しておりません。ご了承ください。

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